100回記念私のいきつけ窪川篇
三軒目は数年前に「淳」のすぐ近くに開店したばかりの蕎麦屋「八笑人」。
ここは私の母の小学校の恩師であったA先生の御子息が脱サラ、帰郷して始められた店。と言ってもそんな話は御本人とは一切してはいないが。
私はここでは「辛味大根そば」をいただく。このド田舎に、辛味大根そばというメニューがあるだけですでに奇跡である。
今は無き高知市の「笑庵」で良く食べたこの品を、我が故郷の、しかも「笑」の字の重なるこの店で食べるのは全く奇縁であり、それこそ人生の辛味である。
蕎麦湯を使ってさらえると、大根ならぬ蕪の絵が姿を現す。ちょいと田舎には無い風趣である。
他にはゆるゆるの「そばがき」がおすすめ。
サービス担当の、ちょっと珍な、人懐こい奥方がいい味である。
三者三様、実に味わい深いものがある。
「窪川は高知のオアシスである」とは昔から我が家に寓居し、あるいはしばし遊んだ歴代の食客たち(多くが鬼籍に入ったが)の、異口同音の賛辞である。
再来年の高速道路延伸を前に、隣町中土佐町における大正市場のような、核となる観光資源の無い窪川に於いて、この三軒は貴重なスポットとして存在価値を増すであろう。
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