雑炊に於ける卵の考察

今日の夕飯は豚しゃぶであった。ぐらぐら沸かさず、コトコトより気持ち強めの火加減で、肉と野菜から出汁を引き出し、眼目の雑炊にいたる。

と言っても、私の雑炊はご飯を炊くのではなく、鍋の汁を白ご飯にかける茶漬け雑炊である。この方が絶対に美味い。さらさらが命である。果して白菜を初めとする野菜の滋味が染み出た出汁をかけた一碗は絶品であった。

そこで欲張り心が湧いて出る。「卵かけようかな〜」これが間違いの元である。滋味雲散。途端に卵味一色になってしまう。無念極まりない。

玉子焼きから天ぷら、チキンラーメンに至るまで、一生付いて回る卵の扱い様は、「妙」の一字に尽きる。何かと何かを取り合わすという事、これぞ人間に生まれた身の醍醐味であり、至福至難の技である。
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