夜食の愉しみ7

前回、これ以上の味はしばらく出そうにもない、と書いたがあっけなく出た。


我が家の今夜の献立のメインは大好物の「鮎の塩焼き」

四万十川の鮎もそろそろ落ちアユでかなり大ぶりになって来た。

皮はさすがに固いが、身はホクホクして食べ堪えがある。

しかしそれらは所詮鮎食いに取っては最大の目的ではない。一番のお目当ては肝とワタである。

箸の先でちょっとつついても堪らぬ美味だが、折角大ぶりの鮎で内臓もたっぷりだから、今日はこれを大半残しておき、最後に茶漬けにする。

熱々の御飯の上に、鮎の肝とワタ、それに少し残しておいた皮と身、さらに化粧塩をたっぷりまぶした尾鰭を加え、ほうじ茶をかけ、茶碗の縁から一気に掻きすする。


苦味とコクのあいまった絶妙の旨味、渾然一体である。

見た目は汚いが、こんな美味い物はそうそうない。

納豆茶漬、鮭皮茶漬と並ぶ、私の三大茶漬けの一つである。
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