初釜

今日はいつもご指導いただいている先生のお宅で社中の初釜であった。

昨夜の酒が見事に残り、プンつくのであまり喋れない。
炭手前が終わると松花堂弁当のお昼となり、ここで御酒が出る。嬉しやこれで昨日の酒ではなく今飲んだ酒のせいに出来ると、飲酒で捕まった時、警官の目の前で用意の酒をぐびぐび飲んだら今飲んだ事になり、そこから車を運転しなければ罪に問われない、というまことしやかな伝聞を思い出しながら、干支の文字が書かれた盃で司牡丹の超辛口「船中八策」をいただく。


私は亥年だが寅が当たった。酒呑みの意か?

松花堂は「匠」調製。鯛のお造りが大変美味しい。料理屋で食べても鯛の刺身の美味いのには中々当たらないので、これは感心である。ご飯は松の型抜きで白無地だったが、何か彩りが欲しい。お正月だし、梅干しを何か上品にあしらって紅白にしたら良い様に思われた。

和気藹々と歓談しながらの食事もやがて終わり、今度は一転沈黙の中で濃茶となる。
食事でお腹がふくれた所へ花びら餅をいただき、お茶を欲する口にしばし「お預け」をさせてお点前を拝見する。


この「間」がいやが上にもお茶の値打ちを増す。


約五人で一碗を回し飲む。私は最後に当たったので、これだけ食べた後の濃茶は苦くも何ともなく、むしろ甘味を感じる物である。

次いで薄茶となり、とりどりの茶碗で楽しくいただく。

普段ざっくばらんな師匠も、今日ばかりは結界を設け、弟子に対し改まって物をおしゃる。

茶の湯にしても何にしても、楽しみか、命懸けの道か?
そこを問うたら全国数百万の和の稽古を支えている人達を大方斬り捨てる事になる。

突然ながら今日の結論。
「こだわる」という事は、他人ではなく自分に向けて架すハードルである。
そしてこれは、なかなかに難しい事なのである。
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