東奔西走十泊の旅 その五

節分の夜となり、宮川町のカウンター割烹「安久」さんで結構な食事をよばれた後はふく笑ちゃんのお茶屋しげ森で「おばけ」の始まりである。
「おばけ」とは節分の夜、厄祓いの為に普段と違う姿をして鬼を遣り過ごす為の異装儀式であり、昭和初期までは一般町衆でも行われ、戦後も花街(かがい)では盛んであったものだが、やがて花柳界の衰退とともに廃れて行ったものである。
しかし流石京の都では現在も連綿と伝えられている。

歌舞伎の一幕から取った物に前の年に流行った時事風俗(今年ならなでしこジャパン、AKBなど)を織り交ぜるのが定番である。








水戸黄門、供奴、団子売とそれぞれ趣向を凝らした扮装と構成で二人一組となって各店を回る。


「おばけ」を卒業したふく光ちゃんは普通の衣装でご挨拶に。雪持ちの南天のお引きずりが美しい。南天は難転(難を転じる)に通じ、節分にはこの上なき柄である。

宮川町を見終えた後は車を飛ばして上七軒へ。「おばけ」は基本的には芸妓のやるものだが、好き者の旦那、女将の中には負けじと扮装して張り切る者もいる。
言う間でもなく、むーちゃんの登場である。


去年は海老蔵ばりの裃で助六の口上姿だったが、今年は姫である。


最初は優美に踊りかましていたが、後半はぶっかえってスパンコールの衣裳となり、鏡獅子よろしく振りまくる。




濃い、あまりにも濃い仲間であり、笑ちゃんともども藤間の宗家勘十郎さんに「南座で変態三人衆を発見!」と一斉メールを貰うだけの事はあるのである。

かくして今年の「おばけ」も無事終わった。来年も無事「おばけ」の日を迎えられる事を切に願って。

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