乾坤一笛の宴

今宵は「ごふく美馬伝統芸能の夕べ」の準レギュラーであり、最多出場を誇る横笛奏者、藤舎貴生さんの「レコード大賞企画賞」受賞を祝うパーティに招かれ、帝国ホテルへ。

これは、貴生さんが長年の「一部の好事家だけのものにとどまっている邦楽を、もっと広く一般の人の耳に届けたい」と言う悲願に対し、松田聖子などの作詞を多く手掛けたポップス界の大御所、松本隆氏が古事記の世界を提案、作詞を引き受け、貴生さんが作曲、親しい長唄、三味線、囃子方を集め、さらには林英哲さんが太鼓を買って出る、朗読は染五郎、若村麻由美の両優が友情出演という、邦楽オーケストラとでも言うべき豪華な陣容で録音された「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」という画期的なCDに対し与えられた栄誉。

日本の伝統和楽器を用いた楽曲に対し、この様な賞が与えられるのは初めての事。快挙であり、斯界生きる人々の励みとなる慶事である。


まずは坂東三津五郎丈の発声により乾杯。


和やかに、宴のはじまり。
御夫妻と二人のお嬢を綺麗どころが囲む。


ごふく美馬お馴染みの尾上松也丈、桂吉坊師、そして坂東亀三郎丈を挟んで、宮川町のふく笑さんとふく紘さん。笑ちゃんは美馬の春草の着物。


そして司会は貴生さんとも私とも御縁の深い尾上菊之丞家元と、染五郎さんのお姉様、松本紀保さん。紀保さんは当店の桜のお着物。


そして、「魂の響」公演で貴生さんとともに高知のお客様を感動の渦に巻き込んだ世界的和太鼓奏者、林英哲さんもスピーチ。もちろん後の演奏にも。


祝舞は貴生さんの交友(遊?)の広さを物語り、東京は新橋から喜美勇さん、京都は祇園甲部から孝鶴さんに豆千鶴さん、先斗町からはもみ乃さん、宮川町からは美馬15周年でも舞ってくれた叶千沙ちゃん、と四つの花街から名妓が勢揃いして「潮来出島」を。地方は祇園の波木井さん、最後は貴生さんに合わせて「口説いた女は数知れず」と替え歌で湧かせ、芸妓連が全員首を振って断る振りで「振られぶり」のご愛嬌。


新婚ホヤホヤの菊之助丈と吉右衛門丈の四女瓔子さんも御夫妻で仲良くご出席、この日一番の人気で写真撮影の嵐。


松緑丈の暴露スピーチ、菊之助丈の上品スピーチと硬軟続けて華を添えた後は、いよいよ眼目の「幸魂奇怪」の生演奏。演舞場夜の部を終えて駆け付けた染五郎さんも若村さんと登壇。貴生さんも渾身の吹きっぷりでフィナーレ部分を絢爛に。


そしてこの賞の最大の功労者、松本さんが壇上に。「三つくらい事務所が付いてないと出来ない様な事を、貴生さんは一人でやった」と讃えつつ「この成功につまずかないで下さい」と愛情ある言葉で釘を刺すあたりは流石。

最後は染五郎さんの一本締めでピリッと決まり。うちのパーティでもお馴染みだが、染五郎の「お手を拝借」は絶品。

かくして一大宴会は終わり、お祝い気分はそのままに、御得意様の注文取りを兼ね、夜の銀座へと繰り出したのであった。
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