演技について

今日は珍しく興奮しているせいか、日頃の思いのたけをいいつのりたくて仕方がない。

小学生の時から杉村春子、山田五十鈴に心酔し、長じるに及んで中村歌右衛門に囚われた身にとって、役者にとって、演劇にとって、演技という物はいかなるものであるか?それは私にとって永遠のテーマである。

本当の名優という物は分かったような御託をならべたりはしない。
一生修行の身であるならば、「演技」について答などあるはずはない。
滝澤修でも言わなかったような事を、今時の若い役者が口走るに及んでは、しゃらくさいを通り越して、盲蛇におぢず、という他はない。

淡島千景は小津の特番で言った。私たち役者が、監督のおっしゃる事に疑問を持ったり、意見を申し上げりなんて、とんでもないこと。山田五十鈴は、毎回監督や演出家の新しい感性によって自分の未知の才能を引き出してくれる事に絶対の信頼を置いていた。
その心構え有っての、あの業績である。

役者は馬鹿ではいけないが、小利口なのは一番始末が悪い。そういう輩の何と多いことか。南無三。
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