一泊三日東京の旅 その3
昨夜は八時五十分に演舞場を飛び出て、「すし屋真魚」へ。夜汽車へ急ぐ身にとり東京駅への中間にあり、日曜もやっているこの店はまことに有難い。
発車まで一時間しかないので、つまみはほどほど(白魚おどり、鯛、蒸し鮑)にして握ってもらう。相変わらず旨い。大将のノリもいい。
すみいか、アジ、平目、こはだ、海老、雲丹、イクラ、穴子、トロ三種など一通り食べてからイカとコハダをお代わりし、最後にシジミの味噌汁と梅きゅう巻きで〆。急ぎ東京駅へ。
十時発の寝台特急サンライズ瀬戸に乗り込む。夜の芝居を観てからこれに乗るのも定番になって来た。寝台列車が次々引退する中、人気があり、予約が取りずらいが今回はデラックスA寝台の最後の一室が取れた。
テーブルに椅子、洗面台もついた豪華版である。しかも二階なので振動があまり気にならない。以前別の寝台で下のベッドに寝た時は線路の継ぎ目ごとに轢音が頭に響いて眠れなかったが、このシングルDX良く眠れる。
慣れて来るとコツを覚え、車掌の改札を待たずにこちらからシャワーカードをもらいに行き、一番風呂をゲット。シャワー時間は六分もあるので十分足りる。
アメニティもかなり充実している。
汗を流したら、あとはゆっくり寝酒を楽しむだけ。買い込んだビールをチビチビやる。
百鬼園先生は新幹線だか特急列車の食堂車のライスカレーが高過ぎると誰かが言ったら、これは時速何百キロで走っているライスカレーだから高くも何ともないのである!と喝破したそうだが、まったくこの列車の広い車窓から夜景を眺めながら飲むビールは価千金である。
しかしこの個室、ミニ冷蔵庫がないのだけが残念だ。今日は寿司屋で生ビールと冷や酒を飲んでいたので良かったが、しらふで乗り込んだ時などは途中で足りなくなるんじゃないかと思うと心配でおちおち飲んでいられないので(自称品切れ恐怖症)、飲める筈のない多量のビールを買い込んで乗る私にとって、保冷は不可欠なのである。次回から簡易クーラーバックを持参するか。
寝間着になって寛いでいると、横浜や熱海で停車の度、ホームにいる東海道線の乗降客が下から見上げている。カメラで写真を撮っている者もある。まさか天皇陛下になった気とは言わないが、それでも何となく優越感を感じて辺りを睥睨する(大袈裟な)。こんな馬鹿馬鹿しい事も夜行列車の楽しみである。
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