金太郎初舞台ツアーの為上京す
汗を流したあと常宿を出て、お得意の夜中の銀座散歩。人がいる。先月までと比べて確実に賑わっている。総じて若手が多いが皆表情は明るい。酔おたんぼの閃き的舌欲(腹は張っているのに口が寂しい)で冷たいパスタが急に食べたくなってウロウロ(ろいろい)探し回るが、どこもやってない(銀座も存外不便)。
四五年前にぼっかり入ったダイニングバーで食べたキャビアのカペッリーニが忘れられず、爾来その店を探しているが、どうも無くなったらしい。で、前から気になっていたホテル近くのカウンターのみの店に入る。ここはワインと洋食が売りの店らしく、グラスシャンパンからして非凡。お通しも気が利いて好印象。冷たいパスタを所望したが生憎細麺を切らしたとの事でボンゴレビアンコを頼んだらこれが中々のもの。センス良し。ついあとを引いてチーズ盛りを頼んでワインのお代わりが進む進む。で、斜向かいに座った女のオーダーが耳に引っ掛かる。
「何かヘルシーな物を」。
夜中の二時過ぎに飲んでる事自体があんた!ヘルシーの対極でしょう!
これですよ、これ!
自分は好き勝手やって、そのツケは払いたくないという根性。
山本夏彦翁は言った。人は何かを得れば何かを失う。